動画文字起こし AI とは、動画の中で話された声を AI が聞き取り、文字に書き起こす仕組みです。
- 講座や会議の動画を AI の席に文字にさせる前に、まず「もう在る文字起こし」を探す理由
- Zoom のクラウド録画が自動で消える前に取り込む段取りと、当社が録画を失った記録
- 音声認識の模型が無音の所に当てた同じ文を、どう見つけて拾うか
起こし始める前に決める事: 文字をどこから得るか
ここでは文字起こしの道具を並べて比べる話はしません。講座や会議の動画を AIエージェント の席に渡して文字にさせる時、結果を左右するのは道具の差より、「その動画の文字はもうどこかに在るか」「動画はいつまで残るか」「起こした文字のどこを疑うか」の 3 つです。動画を講座に並べるまでの全体の流れは 動画編集 AI の頁に書いたので、この頁はその中の「文字にする段」だけを扱います。
当社は、動画の出どころで文字の取り方を分けています。Zoom のクラウドの録画には文字起こしが既に在るので、席に音声から起こさせず、それをそのまま落として使います。席が自前で起こすのは、Zoom の外で録った物(相手側の手元の録画など)だけです(社の決め 2026-10-06)。
| 動画の出どころ | 文字をどこから得るか | 先にする事 | 気をつける所 |
|---|---|---|---|
| Zoom のクラウド録画 | 録画と並んで保存される文字起こし(VTT の形)を落とす | 録画の設定で音声の文字起こしが入っているかを確かめる | 自動で消す設定が入っていると、録画は日が経つと消える |
| Zoom の外で録った物(相手側の手元の録画など) | 席が音声認識の模型で音声から起こす | 長い物は分けて渡す | 無音の所に、話していない文が当たる事がある |
出典: 出どころごとの分け方は社の決め 2026-10-06。VTT の形で保存される事・文字起こしに要る設定は Zoom の公式の文書(Using audio transcription for cloud recordings・2026-10-26 に取った)。自動で消す設定は同じく Zoom の公式の文書(Deleting computer or cloud recordings・2026-10-26 に取った)。
1. もう在る文字起こしを先に探す
Zoom の公式の文書では、クラウドに録画した会議やウェビナーの音声を自動で文字にする機能があり、文字起こしは VTT の形で、録画の一覧に別のファイルとして並ぶと書かれています(Zoom の公式の文書・2026-10-26 に取った)。使うには、Pro・Business・Education・Enterprise のどれかの契約で、クラウド録画と音声の文字起こしの両方が有効になっている事が要ります(同じ文書・2026-10-26 に取った)。対応する言葉の一覧には日本語も入っています(同じ文書)。
この文字が在るのに、席にもう一度音声から起こさせると、時間がかかる上に、次の節で書く「無音に当てた文」を自分で持ち込む事になります。だから席に渡す頼みは「起こして」ではなく、「この回の録画の文字起こしを落として、なければ知らせて」にしています。在る物を落とすのが先、起こすのは無い時だけ、という順です。
2. 録画が消える前に取る
Zoom のクラウド録画には、決めた日数が過ぎた録画を自動で消す設定があり、日数は録画が作られた日から数えると公式の文書に書かれています(Zoom の公式の文書・2026-10-26 に取った)。消える録画は、猶予の後にゴミ箱へ移り、そこに 30 日置かれてから完全に消えます(同じ文書・2026-10-26 に取った)。
当社の記録: 10 回前後の録画がどこにも無かった
当社の毎週の会の Zoom のクラウド録画は、開催から 30 日で自動で消える設定になっていて、2026-05-28〜08-06 の 10 回前後の動画がどこにも残っていませんでした(社の実測 2026-09-26)。文字起こしの VTT だけは全回ありました(社の実測 2026-09-26)。08-27 の回は、消える当日に取って間に合いました(社の実測 2026-09-26)。
文字だけでも残っていたのは救いでしたが、講座に使うには動画そのものが要ります。以後は、開催から 30 日以内に取り込む手順にしました(社の実測 2026-09-26)。消える日を人が覚えておくのではなく、取り込みを毎回の段取りに入れて、席に任せる形です。決まった日に席を回す考え方は 業務自動化 の頁にも書いています。
3. 無音に当てた繰り返しを拾う
Zoom の外で録った物は、席が音声認識の模型で起こします。ここで気をつけるのは、模型が「話していない文」を書く事です。OpenAI の whisper の模型の説明には、学習の仕方のために、音声で実際には話されていない文を出す事(幻覚)があり、また模型の作りのために同じ文を繰り返しやすいと書かれています(whisper の model card・2026-10-26 に取った)。無音の所に当たる、とまでは公式には書かれていないので、ここから先は当社の実測です。
当社の記録: 講座の動画で、同じ文が無音に並んだ
全 7 時間 11 分 48 秒の講座を 8 本に分けて文字起こしした時、whisper large-v3 を Mac 向けにした物(日本語・前の文に引っ張られない設定)が、無音の所に同じ文を当てていました(社の実測 2026-10-24)。掛かった時間は約 25 分(17:55〜18:20)でした(社の実測 2026-10-24)。
| 無音の所に当てられた文 | 回数 | 見つけ方 |
|---|---|---|
| 「ご視聴ありがとうございました」 | 5 回 | 講座の途中に、終わりの挨拶が出ていないかを探す |
| 「問題ない」 | 44 回 | 同じ短い文が、前後と関係なく何度も並んでいないかを数える |
出典: 社の実測 2026-10-24(whisper large-v3 を Mac 向けにした物・日本語・前の文に引っ張られない設定・全 7 時間 11 分 48 秒を 8 本に分けて起こした時)。
「前の文に引っ張られない設定」は、whisper の公式のコードの説明で「前の窓の出力を次の窓に渡さない」設定にあたり、切ると窓ごとの文がそろいにくくなる代わりに、繰り返しの輪に嵌まりにくくなると書かれています(whisper の transcribe.py・2026-10-26 に取った)。当社はこの設定を入れていましたが、それでも無音の所の文は出ました(社の実測 2026-10-24)。設定で減らせても、起こした後に拾う段は要る、というのが当社の読みです。
拾い方は単純です。起こした文の中で、同じ文が何度出たかを数え、多い物から並べて、その所の音声が本当に無音かを確かめます。講座の途中に出た終わりの挨拶のように、話の流れに合わない文も目印になります。席に頼む時は「起こした後、同じ文の繰り返しと、流れに合わない挨拶を一覧にして、消す前に見せて」と書きます。
席に渡す時の手順
- 動画の出どころを確かめる(Zoom のクラウド録画か、Zoom の外で録った物か)
- Zoom のクラウド録画なら、録画と文字起こしの VTT を落とす。文字起こしが無ければ、席が知らせて止まる
- 自動で消える設定がある時は、消える日より前に取り込む(当社は開催から 30 日以内・社の実測 2026-09-26)
- Zoom の外で録った物は、長い物を分けて席に起こさせる
- 起こした文の中の、同じ文の繰り返しと流れに合わない文を一覧にさせ、音声を確かめてから消す
よくある質問
動画の文字起こしは、AI で無料でできますか?
whisper はコードと模型の重みが MIT License で公開されているので、自分の機械で動かせば使う料金はかかりません(whisper の GitHub・2026-10-26 に取った)。一方、Zoom のクラウド録画の文字起こしは、Pro・Business・Education・Enterprise のどれかの契約が要ります(Zoom の公式の文書・2026-10-26 に取った)。
AI の文字起こしの精度は、そのまま使えるほどですか?
そのまま使う前に、話していない文が混ざっていないかを確かめる段が要ります。whisper の模型の説明にも、話されていない文を出す事や、同じ文を繰り返しやすい事が書かれています(whisper の model card・2026-10-26 に取った)。当社でも、講座の無音の所に「問題ない」が 44 回当たっていました(社の実測 2026-10-24)。
Zoom の録画は、AI に音声から起こさせたほうがよいですか?
クラウド録画で音声の文字起こしが有効なら、録画と並んで VTT の文字起こしが保存されるので、それを落として使うのが先です(Zoom の公式の文書・2026-10-26 に取った)。当社は、席が自前で起こすのを Zoom の外で録った物だけにしています(社の決め 2026-10-06)。
Zoom のクラウド録画が自動で消えてしまったら、もう戻りませんか?
自動で消えた録画は、猶予の後にゴミ箱へ移り、そこに 30 日置かれてから完全に消えると公式の文書に書かれているので、まずゴミ箱を見てください(Zoom の公式の文書・2026-10-26 に取った)。当社は録画を失った後、開催から 30 日以内に取り込む手順にしました(社の実測 2026-09-26)。
出典
- Zoom「Using audio transcription for cloud recordings」 https://support.zoom.com/hc/en/article?id=zm_kb&sysparm_article=KB0064927(2026-10-26 に取った・要る契約と設定・VTT の形・対応する言葉)
- Zoom「Deleting computer or cloud recordings」 https://support.zoom.com/hc/en/article?id=zm_kb&sysparm_article=KB0066493(2026-10-26 に取った・自動で消す設定・作られた日から数える事・ゴミ箱に置かれる期間)
- OpenAI whisper「model card」 https://github.com/openai/whisper/blob/main/model-card.md(2026-10-26 に取った・話されていない文を出す事・繰り返しやすい事)
- OpenAI whisper「transcribe.py」 https://github.com/openai/whisper/blob/main/whisper/transcribe.py(2026-10-26 に取った・前の窓の出力を次に渡さない設定の説明)
- OpenAI whisper「README」 https://github.com/openai/whisper(2026-10-26 に取った・MIT License で公開されている事)
- 社の決め 2026-10-06(Zoom のクラウド録画は在る文字起こしを落として使い、席が起こすのは Zoom の外で録った物だけ)
- 社の実測 2026-09-26(自動で消える設定で 10 回前後の録画を失い、VTT は全回残った記録と、以後の取り込みの手順)
- 社の実測 2026-10-24(講座の文字起こしで無音に当てられた文と回数・掛かった時間)